サイコロを用いてベンチプレスの重量を伸ばすプログラム

ALL-INユニットの鈴木です。
私はプログラマなので、ベンチプレスの重量を伸ばすプログラムを書きました。

プログラム


サイコロの目 %1RM セット構成
6 92.5% (1, 1, 1, 1, 1)
5 85.0% (2, 4, 2, 3)
4 & 3 75.0% (3, 5, 3, 4)
2 65.0% (4, 7, 4, 6)
1 60.0% (5, 9, 5, 9)

実行方法

・ベンチプレスを週3回程度行います。回復力やモチベーション次第でより頻度を増やしても構いません。

・実行期間は4週間以上を想定しています。数ヶ月単位や年単位での長期間での実行も可能です。

・その日トレーニングを行うかどうかを、サイコロやコイントスで決める方法もあります。例えばサイコロで奇数が出たらトレーニングを行い、偶数が出たら休みます。長期的には週3.5回のトレーニングになります。

・トレーニング前にサイコロを振り、出た目の指示通りにベンチプレスを行います。ただし、前回のトレーニングと同じ目が出た場合にはサイコロを振り直します。

・4と3は同じ目であるものとみなします。

・セット間の休憩時間は3-5分が目安です。思っているより長めにとることをおすすめします。

・必ず軽い重量でウォームアップを行うようにしてください。

・自己記録を更新できる自信が付いたら、 2、3日程度休むか、強度の低いトレーニングを行い、その後に自己記録更新を狙います。記録を更新できた場合、別のプログラムに移るか、新たな1RMを元に重量を再設定して本プログラムを繰り返します。

表の見方

・「サイコロの目」は、その日のトレーニング内容を決定する六面サイコロの目です。4と3は同じ目であるものとみなします。

・「%1RM」は、1回だけ挙げることができる限界の重量(1RM)を100%とみなした上での重量を表します。

・たとえばベンチプレスを一度だけ60kgで持ち上げられる場合、60%1RMは60kg x 60% = 36kgとなり、92.5%1RMは60kg x 75% = 45kgとなります。

・一般的なトレーニング設備では、設定可能な重量は2.5kg刻みであったり、5kg刻みであったりするため、その設備に合った重量で丸める必要があります。

・たとえば2.5kg刻みでの重量調整ができる設備においては、36kgのセットは35kgで行います。

・「セット構成」は、その日のメインセットの内容を示します。(1, 1, 1, 1, 1)は、一回だけ持ち上げるセットを5セット行うことを意味します。(2, 4, 2, 3)は1セット目に2回、2セット目に4回、3セット目に2回、4セット目に3回持ち上げることを意味します。

本プログラムの特徴

・余力をかなり残す設計になっているため、プログラムの遂行が非常に容易です。回復力に自信があれば、毎日実行すること(いわゆるエブリベンチ)も可能です。

・刺激のランダム性により、長期間にわたって継続的に成果を出しやすい作りになっています。

・身体が持つ恒常性により、長期間にわたって同じことを続けていると次第に適応が行われなくなるという問題があります。本プログラムでは、毎セット、毎日、毎週、毎月単位で異なる強度やボリュームが設定されるため、長期間にわたるトレーニングであっても身体に新鮮な刺激を与え続けることが可能です。

・週4回以上の頻度で行うことはおすすめできませんが、スクワットやデッドリフトにも適用可能です。

・健康や筋力を重視したプログラムであるため、筋肥大はあまり重視していません。しかし何も考えずにとりあえず10回3セットだけ続けるよりは、長期的に見ると筋肥大にも効果的であると思います。

注意点

・各セット、各セッションは、意図的に余力を残す設計になっています。物足りなさを感じても追い込まないでください。

・フォームのクオリティを重視してください。扱う重量よりフォームのクオリティの方が重要です。バーベルは必ず胸まで降ろすこと。バーベルにスクワットパッドなどを着けることも禁止です。胸まで降ろしてから挙げられる重量のみを1RMとみなすようにしてください。

・このプログラムを使用して発生したいかなる事故、怪我などについても免責とさせていただきます。(このプログラムでは怪我は起こりにくいはずですが)

参考文献


1. Simplify your Strength Programming Using Die-Rolled Variability

・本プログラムはこのページに載っているサンプルプログラムの改編です。

2. Strossen, Randall J.. MILO: A Journal For Serious Strength Athletes, Vol. 23, No. 1

・Ladders Reloadedに載っている情報が、本プログラムの強度およびボリュームの策定根拠となっています。